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[概要]
[基礎知識]、1.皮膚の導電性(電気抵抗)2.[良 導 点]
3.[反 応 良 導 点]4.[良導点・反応良導点]と自律神経
5.[経 穴(ツ ボ)・経 絡]と[良導点・良導絡]6.「良 導 絡」
7.「良導絡測定方法」


<良導絡>とは、1950年、中谷義雄医博によって創始された電気針によ
る自律神、経調整療法。
 
特に全身の通電測定によって端的に求められる <反応良導点> が、
中国医学古来のツボ=経穴とほぼ一致したことから、針治療を科学化
した第一歩として、世界各国から大きな注目が寄せられ、針治療に
重要な役割を果たした。


現在行われている<通電によるツボの探索>は、この<良導絡測定>
を応用した<ものである。中国でも、これを<中谷良導絡>として高く
評価し、またアメリカ、ソ連、ヨーロッパ各国の針治療の多くが
<中谷良導絡>を採用している。


東京良導絡研究所(所長・崎村徹男)は、中谷医博の指導のもとに
設立され、<良導絡治療法>を新しい理学療法として、国内、海外
への普及をはかり、現在、北米や中南米、ヨーロッパ、東南アジアの
各国に<良導絡研究所>が開設されている。


1.皮膚の導電性(電気抵抗)

ヒトの皮膚に弱い電気を流したとき、どこでも同じように電気は流れません。
これは、皮膚の電気抵抗が、場所によって違っていることを意味しています。
皮膚以外の他の組織においては、個体差は有っても同一組織上では、どの部位
においても同様の導電性(電気の流れ方)を示します。

このような「皮膚の導電性が部位によって異なる」という現象は、特異的なものと
して、100年以上も前から世界の広い地域で観測されています。

皮膚の導電性は、部位のみではなく、〈生体〉では同一部位にあっても、時間や
刺激によっても、変化することが解ってきました。このことは、ある種の生命活動
の変化が、反射的に皮膚上に現れることを意味します。そして、ある中枢が深く
関与していることも示唆しています。  

中谷義雄氏(医博)は、1950年に、「皮膚の導電性と自律神経と経穴(ツボ)の相
関」についての理論を発表、以後京都大学において研究を続行し、「良導絡理論
」と「良導絡自律神経調整療法」の診断・治療体系を創立したのです。

※注−1
「導電性が高い」とは、『高い所は電気が流れ、そうでない所では電気は流れない
』ことを意味しません。皮膚は、どこも電気が流れます。〈多く流れる所〉と〈流れか
たが少ない所〉があるということです。多く流れることを「導電性が高い」といいます。

※注−2
導電性は、電気抵抗と表裏の関係にあります。

I(電流)=E(電圧) /R(抵抗)  [オームの法則]

※電流と電気抵抗は反比例します。
※電気がよく流れるところは、「電気抵抗が減弱したところ」と言えます。

2.[良 導 点]

21Vの電圧(直流)で、直径1cm以下の小さな電極(陰極)を用い、皮膚上に
弱い電流を流しますと、約1〜2cmおきに碁盤目の上に碁石を並べたようなか
たちで、電気の流れやすい(導電性が高い)点が観測されます。これらの点を、
「電気が 良く」,「流れる 導かれる」,「点」の意で[良 導 点]と、中谷は名付
けました。
上半身では下半身に比べ、電気は良く流れ、良導点は多く出現します。

3.[反 応 良 導 点]

電圧を12Vに落し、同様に皮膚の導電性を観察しますと、21Vに比べ大幅に
数は減少しますが、それでも鮮明な良導点を見いだすことが出来ます。
12Vで見られる良導点は、身体(内臓を含む)に異常が有るときにより鮮明に
現れ、異常を呈する内臓や部位によって出現する場所が異なります。
また、身体のどこかに刺激を加えることによっても変動します。このように、身体
の異常や刺激に反応して出現し変動する良導点を、特に[反応良導点]と呼ん
でいます。

「良導点」は、誰にでも共通して見られる[生理的現象]であり、「反応良導点」
は、疾病や刺激の反射として現れる[病態生理的現象]であるといえます。

※注−3
(注−1)と同様に、『良導点では電気が流れ、良導点以外の所では電気が流
れない』ことではありません。『良導点は、周囲に比べて特に良く電気が流れ
る点』なのです。特に反応良導点では周囲との差が大きくでます。
例えば、手や足などの鶏卵大ほどの皮膚で、平均40μA(マイクロアンペア)
くらいの電流量を示す中で、70μA〜80μA流れるところが有れば、そこが
「反応良導点」です。同様に、顔面で平均的電流量が100μAのとき、140
μAのところが「反応良導点」で、足の「反応良導点」が顔面の「非良導点」より
も電流量が少ないこともあります。

   (図 1)   

※注−4
身体の異常や刺激に反応して電流が良く流れる[反応良導点]があるならば、
身体の異常や刺激に反応して電流が流れ難くなる[反応不良導点]も存在し
ます。

良導点(及び反応良導点)は、「ノイロメーター」という測定器によって測定探索
いたします。内経1cmの湿性の陰極(−)導子を関導子とし、筒状・金属の陽極
(+)を不関導子にします。付加電圧は通常12V、電流は直流、電流値の単位
はマイクロアンペア(μA − 1/100万A)です。

4.[良導点・反応良導点] と 自律神経

中谷は、皮膚上の導電性の高い点、即ち良導点・反応良導点に一つの解釈を
示しました。
良導点・反応良導点は、「局所的に交感神経の興奮している場所である」という
ことです。

中谷の実験によりますと、交感神経の興奮剤を筋注すると良導点は増加し、交
感神経の抑制剤は、良導点を減少させます。副交感神経の興奮剤は良導点を
減少させ、同抑制剤は良導点を増加させます。このことは、良導点が交感神経
の興奮性と深く関与していることを証明しています。

山下等(山下九三夫 国立病院医療センター麻酔科)の研究では、吸入麻酔に
よる自律神経中枢を抑制する全身麻酔下においては、良導点の電流量は著し
く減少し、覚醒によって電流量も回復します。また、いろいろなレベルでの局所
麻酔による交感神経ブロックでも、電流量に減少の傾向が見られます。
これらのことによっても、良導点が交感神経の興奮性と相関を有し、皮膚の導電
性が自律神経の中枢によってコントロールされていることが考えられます。

良導点、特に反応良導点は、身体の状態が自律神経を介して皮膚上に反射し
た点であり、皮膚上の良導点の電流量(電流量の変動)を観測することにより、
間接的に交感神経の興奮性を知ることが出来ます。

5.[経 穴(ツ ボ)・経 絡]と[良 導 点・良 導 絡]

良導点及び反応良導点、特に反応良導点は、中国の伝承医学の一つである
「鍼灸」治療の基となる独特な病理観である、「経穴・経絡」の経穴(ツボ)の部
位に、多く一致します。言葉を替えますと、経穴(ツボ)は導電性が高い(皮膚
の通電抵抗が減弱している)という特性を持っていると言えます。このことを中
谷が世界で初めて証明したとして、国際的に高い評価を受けています。
ヒトの皮膚に点在する良導点を夜空に輝く星に例えますと、それらの星を特定
の線で結ぶと星座になります。身体上に点在する良導点を、「経絡の走行」と
いう特定の線で結んだものが「良導絡」です。したがって、[良導絡]と[経絡]
相似形をなしています。

古人が「経絡・経穴」という形態で捉えた生理・病理観は、〈「気血」が経絡をめ
ぐり、経穴は気の出入りする門戸である。「気」は「衛」を司り、「血」は「営」を行
う。〉という概念です。気は生命エネルギーの総称であり、血は血液の循環を意
味すると解釈できます。
「衛」は防衛の「衛」であり、生体の自然調整機能(ホメオスターシス)や療能力
と考えられ、自律神経の恒常性や免疫機能を含む治癒力と言い替えられます。
一つの例として、気温が低下すると、毛細血管は収縮し毛嚢は閉じて、体温の
放散を防ぐという働きが、自然に無意識下に行われます。これらの生体の自然
調整機能(ホメオスターシス)や療能力は、当然自律神経の重要な機能の一つ
であります。
また、「営」は栄養を補うことですが、血液の循環がこれに当たります。人体での
血管の分布は、経絡の走り方とは異なります。血液の循環は自律神経の機能
の重要な一つです。古人は「血」が循環する経絡を、ダイレクトに血管の走行と
考えたのではなく、血液の循環という自律神経の機能を、[経絡]という形で表現
したのでありましょう。
「経絡」という形態と「気血・衛営」という観念は、共に「自律神経」という言葉がない
まま、正に自律神経の機能そのものを表現しているのです。

「経絡」には、生理学・病理学だけではなく当時の中国(少なくとも2000年以前)
の論理学・宗教・哲学・自然観が包含されています。
「良導絡」は、「経絡」の生理学・病理学的部分を、電気生理学と自律神経学の
立場から表現し、同時に経絡を科学的に解明し証明したものといえます。
「良導絡=経絡」の変動を、皮膚の導電性(通電抵抗)を計ることで捉え、そのこ
とによって、自律神経の変動やバランスを、間接的に知ることが出来るのです。
自律神経の興奮性(自律神経の機能の程度)を、皮膚の導電性(通電抵抗)に
定性化し、電流量の測定によって定量化することに初めて成功した唯一の方法
が、「良導絡理論」と「良導絡自律神経調整療法」であります。

6.「良 導 絡」

前項(5)で述べたとおり、「良導絡」と「経絡」は相似型をなすものです。
経絡では、独自の観念から自律神経を六臓(肺,心,脾,肝,腎 の五臓に心
包を加えて)と六腑(小腸,三焦,大腸,膀胱,胆,胃)の12系に分類して
います。(経絡は、その他に前正中線を走行する「任脈」と後正中線を走る
「督脈」のエキストラの2経を加えて計114経あります。)

良導絡も、経絡の観念を踏襲して六臓・六腑の12系に分類し、鮮明に出現す
る良導点(多くは経穴の部位と一致する)を経絡の走行に沿って体系づけてい
ます。

良導絡では、手を走行する良導絡に[H]を、足を走行するものに[F]の記
号をつけて呼んでいます。

良導絡と経絡の相関は以下のとおりです。
――――――――― ―――――――――
H  良導絡 経 絡   F  良導絡 経 絡
――――――――― ―――――――――
H1 良導絡 肺 経   F1 良導絡 脾 経
H2 良導絡 心包経  F2 良導絡 肝 経
H3 良導絡 心 経   F3 良導絡 腎 経
H4 良導絡 小腸経  F4 良導絡 膀胱経
H5 良導絡 三焦経  F5 良導絡 胆 経
H6 良導絡 大腸経  F6 良導絡 胃 経
――――――――― ―――――――――

※注−5
良導絡でも、前正中線を走行する「VM良導絡−任脈」と、後正中線を走
「HM良導絡−督脈」があります。しかし、自律神経の興奮性の測定に用い
るのは、「正 経」と呼ばれる「H」及び「F」の良導絡です。

良導絡では、経絡との相関において、「H1 良導絡」を「肺良導絡」,「F6
良導絡」を「胃良導絡」と呼ぶこともあります。
注意が肝要なのは、経絡や良導絡の頭に冠している「肺,肝,胃」等の文字が
現在の解剖・生理学上の「肺臓,肝臓,胃」と同一のものではないことです。
「肝 経」の「肝」は、肝臓のみならず眼,筋肉,生殖器などを含む自律神経
機能の一つの独特なパターンだと理解して下さい。「F2 良導絡=肝 経」の
異常は、全てが短絡的に肝臓の異常と断定出来ないということです。筋肉痛や
眼精疲労も「F2 良導絡=肝 経」の異常として現れます。勿論、肝臓の働き
に異常があるケースでは、「F2 良導絡=肝 経」に変化が現れます。

※注−6
現実に「心 包」及び「三 焦」という臓器は存在しません。
良導絡では、「心 包」は「血管及び血液循環器能」と、「三 焦」は「淋
巴管及び淋巴系の機能」だと解釈しています。また、「脾」は、「脾臓」よ
りも「膵臓を中心とする消化機能」に、「腎」は、「腎臓の泌尿機能」より
も「副腎を中心とする内分泌の働き」に重点を置いています。

※注−7
H5 良導絡(三焦経)とF5 良導絡(胆 経)は、古典経絡においては、こ
の二経で[少陽]というグループを形成しています。他の10の良導絡=経
絡が交感神経の興奮性に深く関与している中、この二経は副交感神経との関
連を示唆する現象を見せ、特異な良導絡=経絡だといえます。